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会社・法人の設立
- 会社・法人の設立は、どのような会社・法人を設立するかが決まっていれば、難しいものではありません。決められた手順に従い進めれば良いだけです。しかし、会社・法人を設立したい方が一番悩むのは、手続の問題ではなく、会社・法人にはどのような形態があり、その違いは何なのか、そして自分が作ろうとしている組織はどのような形態を選択するのが最適なのか、ということだろうと思います。
皆様のそのような悩みに応えるために、形態毎の比較表を作成しました。この比較表を参考に皆様にとって最適な会社・法人の形態を選択して下さい。 - 但し、営利企業については、成長に伴い規模の拡大ということがあり、その規模にふさわしい組織の在り方がありますので、そのような成長を見込んだ形態を考慮することも必要となります。
設立する「今」と将来の「夢」は、厳然と区別しつつも将来を見据えた形態も考えておきましょう。
1. 個人企業、持分会社、株式会社の比較
個人企業 (法人格を持たないもの) |
持分会社 | 株式会社 | |
---|---|---|---|
目的 | 制限無し | 営利を目的 | 営利を目的 |
活動内容 | 制限無し | 制限無し(但し、会社の目的を定款で定めなければならない) | 制限無し(但し、会社の目的を定款で定めなければならない) |
具体例 | 零細商店、零細工場 | 小規模な営利企業(合名会社、合資会社、合同会社) | 一般的な営利企業 |
設立の制約 | なし | 準則(一定の要件を満たせば設立できるが、登記が設立の要件) | 準則(一定の要件を満たせば設立できるが、登記が設立の要件) |
設立にかかる期間 | なし | 2~3週間 | 2~3週間 |
書類作成の難易度 | 作成不要 | 低い | 低い |
発起人 | 必要としない | 1名以上。但し、合資会社は2名以上 | 1名以上 |
設立後に必要な構成員 | 事業主1名以上 | 社員1名以上。但し、合資会社は有限責任社員1名以上と無限責任社員1名以上が必要 | 株主1名以上 |
構成員の資格制限 | できる | できる | できる |
設立に必要な役員等の人数 | 役員を置くことは要件とされていない | 役員を置くことは要件とされていない | 取締役1名以上 |
設立に必要な財産 | 0円でも設立可能 | 0円でも設立可能 | 0円でも設立可能 |
設立手続に必要な経費 | 法的に必要な経費はない | 設立登記印紙代: |
定款認証手数料:5万円 最低15万円 |
法人税の免除 | 対象外 | なし | なし |
法人住民税の免除 | 対象外 | なし | なし |
知名度 | 低い | 低い | 高い |
持分会社はあまり見かけません。会社法ができる前は、株式会社は1,000万円以上の資本金が必要でした。
従って、このお金が準備できない方は有限会社(今は、有限会社という名称の付いた株式会社になりました。)や合名会社、合資会社という会社を設立しました。但し、大多数は有限会社でした。
今は、株式会社の資本金の制約はなくなったので、最初から株式会社を設立する人が大多数です。
かつてのイメージがあるので、今でも株式会社はステータスを感じさせますし、株式会社の社長と言えば格好良く見えますよね。
会社を作っても、大きく発展させる意思がなければ、法人格の無い個人企業が登記費用も維持費もなく、経済的です。いずれは会社を大きくして上場を目指したいのであれば、最初から株式会社として設立することも考えられますが、先行きが不透明なら個人企業として設立し、ある程度大きくなった所で株式会社を設立するという方法もあります。どのような形態を選択するかは、設立しようとする方の考え方に拠ることになります。
2. 一般社団法人、一般財団法人、NPO法人の比較
一般社団法人 | 一般財団法人 | NPO法人 | |
---|---|---|---|
目的 | 営利を目的としない | 営利を目的としない | 営利を目的としない |
活動内容 | 制限無し(但し目的を定款で定めなければならない) | 制限無し(但し目的を定款で定めなければならない) | 公益の増進に寄与する活動に限られる |
具体例 | 業界団体 | ボランティア団体 | |
設立の制約 | 準則(一定の要件を満たせば設立できる。) | 準則(一定の要件を満たせば設立できる。) | 認証(行政の認証が必要) |
設立にかかる期間 | 2~3週間 | 2~3週間 | 約5ヶ月 |
書類作成の難易度 | 低い | 低い | 高い |
発起人 | 2名以上 | 1名以上 | 10名以上 |
設立後に必要な構成員 | 社員1名以上 | 社員1名以上 | 社員1名以上 |
構成員の資格制限 | できる | できる | できない |
設立に必要な役員等の人数 | 理事1名以上 | 理事3名以上 監事1名以上 評議員3名以上 |
理事3名以上 監事1名以上 |
設立に必要な財産 | 0円でも設立可能 | 300万円以上 | 0円でも設立可能 |
設立手続に必要な経費 | 定款認証手数料:5万円 定款添付印紙代:4万円但し、電子定款の場合は不要 設立登記印紙代:6万円 |
定款認証手数料:5万円 定款添付印紙代:4万円但し、電子定款の場合は不要 設立登記印紙代:6万円 |
定款認証手数料:0円 定款添付印紙代:0円 設立登記印紙代:0円 |
法人税の免除 | 原則なし | 原則なし | 税法で定められた収益事業を行っていなければあり |
法人住民税の免除 | なし | なし | 税法で定められた収益事業を行っていなければあり |
知名度 | 低い | 低い | 高い |
財団法人は、財産が主体の法人なので、他の法人と比較することはあまりないと思います。
一方、一般社団法人とNPO法人は、ともに営利を目的としない法人なのでどちらの形態を選択するか悩むことかと思います。
NPO法人は設立に経費がほとんどかかりませんが、10人以上の発起人が必要であったり、4名以上の役員が必要であったりと少々ハードルが高いことに加え、行政の認証が必要で且つ審査に4ヶ月程度の期間が必要です。また、会員の制限もできません。
これに対して、一般社団法人は発起人2名で設立できますし、法定の要件さえ満たしていれば直ぐに設立することができますし、会員の資格を制限することもできます。従って、設立は簡単ですが、NPO法人ほど知名度というか重みはありません。何に重点を置いて活動するかということが選択の基準になると思います。