- 名称:川田行政書士事務所
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相続
- 1. 相続への備え
- 相続は、ある日突然やって来ることもありますし、前もってその時期が予測できることもあります。
人間は不死身ではありませんからいつか相続が発生することは避けようがありませんが、事前に備えている方は少ないのが実情です。従って、突然相続が発生しますと多くの方は慌ててしまいます。加えて、相続手続は相当に煩雑なので、慣れていない一般の方にとっては負担の大きい手続です。
また、相続に関する知識が少なかったり不正確であったりすると、相続財産をめぐって無用な争いを起こすことがありますので、正確な知識を持ち、且つ、冷静に判断できる第三者が関与することが良い結果を生むことも多々期待できます。相続人に高齢の配偶者がいる場合に、この方が認知症等で判断能力が十分ないときにはその方のために成年後見人の選任を金融機関等から要求される場合もあります。
従って、相続が発生した場合には、できるだけ早い段階で専門家に相談をされるようお勧めします。
- 2. 相続の承認について
- 「相続の承認などということは聞いたことがない。」という方が大多数だと思います。しかし、相続には「単純承認」、「限定承認」、「相続放棄」という手続があります。
相続人が自己のために相続があったことを知り、かつ、相続財産があることを知った時から3ヶ月以内にこの意思表示をする必要があります。何の意思表示もしないで3ヶ月が過ぎますと「単純承認」したものと見なされます。
大多数の相続人の方はこのことを特に意識しないで「単純承認」したことになっています。
「単純承認」は、被相続人のプラスの財産もマイナスの財産(借金)も相続します。従って、債務超過の人(借金の方が多い人)を相続すると相続人が十分な財産を持っていないと相続人も債務超過になるおそれがあります。
このため、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産を合わせてマイナスにならない範囲で相続する「限定承認」を選択することもできます。
従って、「限定承認」すれば債務超過になるおそれはありません。また、相続権を一切放棄する「相続放棄」を選択することもできます。「相続放棄」を選択するとその人は初めから相続人でなかったことになります。
「限定承認」も「相続放棄」も共に前述した3ヶ月の期間内に家庭裁判所に申し立てることが必要です。
- 3. 相続税対策
- ここまでは、相続発生後のことを説明しましたが、ある程度の財産をお持ちの方には生前の相続対策が重要です。
相続対策とは即ち相続税対策のことです。適切な対策を行うことにより相続税を低く抑えることです。
この対策は勿論合法的な方法で行うことが大前提であり、このような対策は節税と呼ばれます。節税は、本人に利益を与えることではありませんが、配偶者や子供さんの相続税ができるだけ少なく済むように
知恵を絞ることは肉親としての愛情でもあり勤めでもあると言えます。
節税の方法としては、預貯金を不動産に変えて評価額を引き下げる、贈与を活用する、銀行預金を生命保険に切り換える等様々な方法があります。節税は、お手持ちの財産や相続人となる方等を考慮して個別に対策を考える必要がありますので、是非専門家に相談されることをお勧めします。
4. 一般贈与と相続時精算課税制度による贈与との相違点
贈与の活用を検討していただくための参考として、「一般贈与」と「相続時精算課税制度による贈与」との相違点をまとめてみました。
項目 | 通常の贈与 | 相続時の精算課税制度による贈与 |
---|---|---|
贈与者 | 制限無し | 65歳以上の親 |
受贈者 | 制限無し | 20歳以上の子(推定相続人) |
非課税枠 | 年間110万円(基礎控除) | 生涯2.500万円 住宅資金1.000万円別枠あり(特別控除) |
選択適用 | 無し | 個別に選択可 |
税率 | 10%から50%の超過累進課税 | 一律20% |
計算対象期間 | 暦年 | 一生涯 |
申告義務 | 基礎控除を超える場合のみ | 制度の適用を受けている場合はすべて |
相続時の加算 | 相続開始前3年以内の贈与のみ加算 | すべて加算 |
贈与税率の精算 | 相続時に加算された財産に係る贈与税の精算のみ還付は無し | すべての贈与税が精算される払い過ぎた贈与税額は還付される |